皮脂って何だと思いますか?
この言葉を知らない人の為に簡単に説明します。
皮脂とは「あなたの体を守っている保護膜」のことです。人間なら全ての人に備わっている保護膜です。
だから、この保護膜が無くなると人は生きていけません。生きて行けませんから、常に分泌されて人の体全体を保護しています。
お風呂に入ったあと、湯船から上がったらお肌が水を弾いているのは、皮脂膜で体が保護されているからです。
人の皮膚は何重にもなって体を守っています。乾燥から守っていますし、細菌からの侵入も守っています。
その中で、皮脂には天然の保湿剤としての役割もあります。
だから、取れば補充される機能が働くので、毎度毎度取っていると常に補充する機能が働くようになり、何もしないのに脂ぎった状態になりやすいです。
もし、今現在頭皮やお肌が脂っぽいとか脂ぎっているなら、皮脂を取って清潔にしてきた習慣が原因だと言えます。
皮脂とは体を守る為に必要な分泌物であるのに、1990年代の始めの頃から、育毛サービスを提供する何社ものサロンがテレビや雑誌等のマスメディアを通じて、「毛穴に皮脂が詰まって毛が生えてこなくなっているのが薄毛の原因だから、皮脂を取って頭皮を清潔にしないと禿げる。」と皮脂を薄毛の原因になっているような間違った情報を拡散したのです。
その影響もあり「禿げたくなければよく洗え。」と信じてしまい、毎日洗髪する習慣が根付いたのです。それまでは、多くの日本人は2日か3日に1回洗髪すればいい方だった(週に1回の人もいました)のにです。
結果、薄毛になる人口が減ったのではなく、反対に増えてしまい、現在では女性にまで薄毛人口が増えています。
また、皮脂を取れば保護する膜が無くなるので、再度分泌されます。そして、脂っぽくなっている人が増えたのです。
皮脂が多いから薄毛になったのではなく、皮脂を取るようなケアを続けてきたから薄毛になったのです。
弊社のご相談者にお話をお聞きすると、別に皮脂が多いわけでもないのに「脂っぽいです」とか「皮脂の分泌が多いと思います」とご自分のことを訴える人が多いです。
なぜ、そんな認識になっているのかと言うと、「皮脂が多いと薄毛になる。だったら、自分が薄毛になっているのはきっと皮脂が多いからに違いない」と思い込んでいるのです。
そんな方の頭皮を触っても皮脂はほとんど取れませんし、頭皮の温浴をしても皮脂はほとんど取れないことの方が多いのです。
宣伝やおかしな情報に、間違った認識を思い込まされているのでしょう。
そんな人ほど、元々は皮脂の分泌量が少ないタイプで皮膚の弱い人であったりしますから、その弱い保護膜を取るような習慣が薄毛の原因になっているのですね。
人の皮膚のことを無視した情報の被害者とでも言えるでしょう。
清潔にするのも善し悪しってことですね。