2022年5月28日土曜日

薄毛を脱毛症と呼ばないで!

 薄毛と脱毛症を同じように見る人が多くで困っています。

この2つは全く違う症状なので、薄毛なのに脱毛症が治る効果を求めていると、その効果で毛を無くすことにもなりかねません。

皮膚科学会も薄毛を脱毛症と言う

日本の皮膚科学会にしても、男性型脱毛症とか女性型脱毛症なんて言葉を使っているのですから、この言葉の間違いの元は根が深いです。

男性型女性型脱毛症の診療ガイドライン

日本の皮膚科学会が出した男性型女性型脱毛症の診療ガイドラインにて、症状の説明が記述されています。その中では薄毛のことを以下のように説明しているのに脱毛症と表現しているのです。

  • 生え替わりながら成長期が短くなって抜けていく
  • 成長期が短くなって抜けるから、休止期になり毛が生えていない毛包が多くなってくる
  • その過程で毛が軟毛化してく
  • その過程で毛が細くなっていく
  • その過程で成長しないで抜けるようになる

成長しないことが問題

この説明を聞けば、成長期が短くなって抜けるのだから脱毛症だ、とも言えなくありませんが、問題は抜けることにありませんよね。成長しないことが問題なのですよね。それだったら、男性型未成長毛症とか男性型薄毛と表現するべきものではないでしょうか?

本当の脱毛症とは

これを本当の意味での脱毛症と比べてみると分かります。分かりやすいのが、円形脱毛症やびまん性脱毛症です。

これらは、ストレス等の影響で頭皮の一部の血管が収縮して血がいきなり流れなくなりその血管が支配している毛細血管に血が流れなくなることで、その毛細血管から栄養を補給されている毛が、成長途中で一気に抜けてしまう症状です。

深い部位で血流制限が起きると大きな円形で抜け、浅い部位で血流制限が起きると小さい円形で抜けます。また、全体的に浅い毛細血管に血が巡らなくなりパラパラと抜けるのをびまん性脱毛症と言います。

これら、2つは自己免疫疾患の一つではないか?と言う説もあります。

薄毛と脱毛症は違うのですね。

薄毛と脱毛症は改善パターンも異なる

この違いは、改善する時にも大きな差となって出てきます。これについては次回お知らせします。

脱毛症いろいろ

これら以外にもいくつか脱毛症があります。

  • 細菌性の脱毛症

毛根に細菌が入り込んで毛を育てる組織を痛めるので、毛が抜けてしまい、次に生え替わってこない脱毛症です。

育毛相談WEBでは、一人だけ実例があります。

いらっしゃった時には、すでに皮膚科で抗生物質を処方された後だったの、細菌自体は毛根部分には生息していませんでした。

ただ、細菌がなくなったのに毛が生えないままの状態だったので、ご相談にいらっしゃったのでした。

ケアを始めて3年ですが、毛のなかった部位に硬毛が発毛してきてきますが、余程細菌による攻撃が強かったのか、なかなか伸びるようになりません。現在やっと触ればご自分でも毛があるのを感じるくらいにはなっています。

  • 脂漏性湿疹・皮膚炎による脱毛症

ご自分の分泌する皮脂の影響で、アラセチア真菌の繁殖がひどくなって、頭皮に炎症を起こして、結果毛が抜ける脱毛症です。

ご自分の分泌する皮脂が原因になっているだけに、なかなか治りません。

ご相談者の中には、簡単に考えている人も多く「難しいから、最低でも1年はケアだけでなく、食習慣や生活自体も注意しないと治らなくなりますよ」と助言しても、なかなか聞いて頂けません。

1年ちゃんとしたケアをすると、治る見込みが出るだけの人もいれば、治ってしまう人もいて、治るペースは様々です。

簡単ではないことだけは確かなので、指導通りにちゃんと取り組んで欲しいです。

ちなみに、皮膚科医の先生の中には、治らないと割り切って、薬を出すだけにしている先生方もいらっしゃいます。それだけ難しい皮膚疾患なのでしょう。

2022年5月14日土曜日

頭皮が赤い・かゆい(痒い)も清潔にし過ぎるから

 頭皮が赤いとかかゆい(痒い)も、清潔にし過ぎと洗い過ぎの結果です。

皮膚を構造を見ると、その理由がよくわかります。

上から

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

になっていて、その表皮が以下のような多重層になっています。

表皮は多重層

表皮は多重層になっていますが、その厚さは、0.1ミリ~0.3ミリくらいととても薄いです。

  1. 皮脂膜
  2. 角質層
  3. 顆粒層
  4. 有棘(ゆうきょく)層
  5. 基底層

皮脂膜は脂の膜ですが、角質層も多重層(0.02ミリくらい)になっていて、小さい細胞がレンガのように揃いかつ多重に重なっています。そのレンガの隙間に接着剤のような役割をしているのがセラミドです。

皮膚の厚さはとても薄い

皮膚自体の厚さが0.6ミリ~3ミリくらいのものなので、洗い過ぎると削り取ってしまうことにもなりかねません。

特に、界面活性作用の強い活性剤で皮脂を取るべく綺麗に洗っていると、皮脂膜を取り去りますが、薄い角質層も削り取り痛めてしまいます

結果、皮脂の分泌量が増えて脂っぽくなり、角質層を痛めるのでフケ症になり、皮脂の分泌量が増えるので皮膚常在菌の繁殖が激しくなって匂いが出て炎症を起こし角質層を削り取ることで頭皮を傷めてしまうので、その修復の為に血が集まってきて赤くなり、修復の為にかゆく(痒く)なり、ろくなことがりません。

皮脂を取って清潔にすることが始まり 

頭皮は赤くなるもの、かゆく(痒く)なるのも、皮脂を取って清潔にする習慣で皮膚自体を痛めているからなのですね。

清潔にすることが、どれだけ頭皮を痛めて、頭皮のトラブルのもとになっているかのかお分かり頂けると思います。

この皮脂を取って頭皮を清潔にするケアが薄毛の大きな原因の一つになっているのがお分かり頂けますよね。

この清潔にする習慣が始まったのが、1990年代から。

当時、10社程度あった育毛サロンが、「毛穴が皮脂で詰まって毛が生えない・育たない。だから皮脂を取らないと禿げる」とマスメディアを通じて大々的に情報を拡散したのです。

皮脂を取るから薄毛人口が増えた

その結果、薄毛人口が減ったのかと言うと反対で、さらに薄毛人口が増え、低年齢化と女性にも薄毛人口が広がったのです。

低年齢化と女性にも薄毛人口が広がったのは、他にも原因があるのはありますが、この皮脂が毛穴に詰まるという話がなければ、相当減っていたのではないか?と思います。

あれから20年以上の歳月が経過して、毛穴が詰まっていると訴えていたサロンのほとんどが潰れてしまい、大手の2社のみが生き残っています(未だに毛穴が皮脂で詰まると訴えている)。

理美容室も毛穴に皮脂が詰まっていると言う

2019年現在では、理美容室の中にも毛穴が皮脂で詰まっているとか、シリコンが詰まるとか、角質が塞ぐとか、なんとか毛穴を詰まらせたり塞ぎたいような情報を流すところがあったりします。

そんなものよりも、カラーの方がよほど毛穴に詰まる可能性が高いです。ところが、理美容業界からそんな話を聞いたことがありませんね。

人のは皮膚呼吸する動物ではないのですが、毛穴には体温調節や体が乾燥しないように皮脂を分泌する機能等、人が自然環境の中で生きていくのに必要な役割を担っているのです。

そろそろ、本当のことに気づく時期にきているのではなでしょうか?